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  • 狭間 が更新を投稿 1年 7か月前

    「宋さんの呪いのウソとホント」続きの続き

    ヤブ病院から出たあと俺は情報屋の家に向かったんだ。
    5人組の中で情報屋は1番の寝坊助だったし、両親共働きで朝も誰もいない。
    だからあいつはきっとまだ寝てる。
    今は午前10時すぎ。
    確信があったんだ。家に行けば会えるって。

    俺達5人組は俺以外の4人はわりと家が近いから休みの日は奴らきっと近くにいるはず。
    俺は自転車を全速力でこいだ。情報屋の家に着くと案の定情報屋は寝ていた。

    俺はインターホンを鬼押しして情報屋を叩き起こして家に上がって事の次第を伝えた。

    情報屋は
    「直ぐに2人を呼ぼう!」
    と言ってガリガリ、ロン毛の家に電話した。

    なんか2人とも寝坊していたみたいで。でもそれも無理からぬ事だよね。
    俺以外は全員「宋さん」に会っている。
    そして祓屋のあの話を聞いてその日に快眠なんてできるわけない。

    「おい!俺!取り敢えずガリガリとロン毛はあと15分で到着みたいだ。」
    と情報屋は俺に言った。

    俺は
    「そっか。じゃあみんな揃ってから情報の共有をしよう。」

    そうこうしているうちに、インターホンがなりガリガリとロン毛が到着した。
    情報屋は皆にオレンジジュースを配った。
    そしてイケメンの事故と言うか状態を告げ
    「みんな昨日は何にもなかったか?」
    と言った。
    ガリガリは
    「先ずはイケメンが無事でホッとしたけどよ。夢の中でポケモンのベトベトンみたいな奴がベチャベチャ音をたてて俺の回りをぐるぐる体を引き摺って動きまわってんだよ。
    そんで見えない、見えん、どこだとかっていろんな声が1つのベトベトンからするんだ。もう気持ち悪いったらねーよ。
    ロン毛と俺はどうだった?」
    と俺とガリガリに聞いてくるので俺はまだ嘘を貫くべく。
    「俺も似たような感じだな。」
    ロン毛は青ざめた顔でオレンジジュースを一口飲むとグラスを手にしたまま
    「取り敢えず俺の方からは今は言えない。祓屋に行こう。てか一緒に来てくれ。今この状況でもまずいんだ。」

    俺達は「わかった」と言って祓屋宅へ出発した。

    祓屋宅に到着したら祓屋は庭の花壇に水をあげていた。祓屋は
    「来ると思ったよ。あがりなさいな。」
    と一言いって俺達を和室へ通した。

    祓屋が座るとロン毛が口を開いた。
    「祓屋さん、俺今も見えてるんだ。女の人。」

    俺達は「はぁ!?」と口を揃えた。

    祓屋は
    「あんたら3人は大丈夫だ。うまくないのはそこのロン毛君だね。
    もう1人イケメン君はどうしたんだい?」

    俺はイケメンが入院したことと詳細をわかる範囲で伝えた。
    祓屋は深く頷くと小さな木箱を俺に渡した。
    大きさにしてそうだね。10㎝各位かな。
    そしてこう告げたんだ。
    「俺君はこれをイケメン君に届けて右足の爪と右足の毛、血液を1滴入れて、イケメン君の枕元に置いておくんだ。
    その箱が無くなる事があればイケメン君は助かる。
    さぁ行くんだよ。
    ロン毛君はあんたが病院に行っている間に見ておくから。」

    俺は祓屋から箱を預かり病院へと急いだ。
    病室に着くと、いいタイミングなのか回診も終わって見舞もいなかった。
    俺はイケメンに詳細を伝えて右足の爪を切り、脛毛を抜いた。
    後は血液をとりたいのだか、これもタイミングなのかイケメンの爪は所謂《横爪》で深爪しやすい指だった。
    俺はイケメンに深爪のささくれを剥がさせそこから出血した血液を箱に垂らして箱を渡した。
    イケメンに
    「いいか!今日から必ず枕元にこの箱を置いておけよ!」
    と告げると俺はそそくさと病室を出た。

    今思い出せばあの時イケメンはポカンとしていたようなきがするな。俺も焦っていたからしょうがないよね。

    俺はまたもや自転車に股がり全速力で祓屋宅へ向かったんだ。
    汗ばんだ体に絡み付く風はなぜか心地よさを与えてくれた気がする。こんな時に不謹慎過ぎるけどね。

    祓屋宅に到着して祓屋に箱を渡したことを告げた。
    祓屋は
    「そうかい。まぁ座んなさいな。
    多分イケメン君は大丈夫だろう。ロン毛君の事はだいたいわかったところだよ。」

    祓屋は眉をしかめて言った。というより少し戸惑っていたような。
    祓屋はロン毛の今の状態を俺たちに語ったんだ。

    要約すると、
    ロン毛は特に何もついていないらしい。
    逆についていない事が厄介で今ロン毛は異界の者達を見れるらしい。

    祓屋によると異界の者達は幽霊等の類いとは別のようだ。

    幽霊等は霞のような存在でいつでもどこにでもいる。
    時と場合により姿が見える事がある程度のもの。

    しかし《異界の者達》は違う。異界の者達はこちらに干渉できる。
    もはや怪しや怨霊と言ってもいい。
    そして奴等は自分を認識するものを付け回す。
    こちらの世界への影響力、また、人間への影響力は様々である。
    共通点は普段は見えないことだが
    祓屋によれば世間では異界の者と幽霊を混同してるらしい。

    対処法については祓屋は
    「ロン毛君。今あんたに見えているものはもうどうにもならない。方法は1つこの町を出なさい。
    この町ただ出るだけではなく利根川でも小貝川でも何でもいいから大きな川を越えた町に行きなさい。
    そしてこの町に戻ってはならない。
    戻ればあんたは寿命を全うすることなく生涯を終えるよ。」

    情報屋が大声で。
    「何で❗️何で❗️助ける方法はないのかよ!
    ロン毛が引っ越ししないで済む方法は!」

    「ダメなんだよ。古来より境界線は川で区切られている。
    死出の旅に出る時に三途の川を渡ると言うだろ?
    九死に一生を得た人も殆どが川を見るという。
    川は境界線なんだよ。異界も同じだ。
    決して川を越える事はできない。
    逆に言えばロン毛君は川を越える事で助かる。」
    祓屋は静かに語った。

    俺は聞いてみた
    「祓屋さん。じゃあ他のみんなも異界の奴等にやられちまうのか?
    全員磁石を使って下準備してるんだよ。」

    「稀だよ。」
    空かさず祓屋は答えた。
    「というより、ありえない。しかし世の中に2つだけ全てを貫く力がある。
    それは重力と磁力。
    これはあたしの持論だけどね、今いる世界はいくつもの空間が捻れて1つになっている。
    捻れているから見えない。折り重なる空間を貫く力が故意に通されたとき怪現象が起きる。」

    「たかだか磁石で?」
    「そうだよ。情報屋君。
    ロン毛君!決断を急ぐんだよ!」

    ロン毛は無言だった。
    フラフラと立ち上り部屋を出ていったんだ。
    俺たちの声かけにも答えなかった。

    俺達は祓屋に「失礼します。」
    と言って祓屋宅をあとにした。

    ロン毛は何も語らなかった。自分のおかれている状況に。
    ロン毛の後ろ姿は長めの髪が風になびいてヌラヌラと揺れていた。

    それからロン毛は学校をずっと休んだんだ。
    そのうちにイケメンが退院して学校に来れるようになって、それでもロン毛は学校を休み続けたんだ。
    イケメンの枕元の箱もどうなったか?
    それもイケメンは語らなかった。

    ある時担任の先生からロン毛の転校が知らされた。
    俺達はロン毛の事、宋さんの事について話題にもしなかった。

    俺は結局ビビりのまま、この遊びに本当は参加していない事も話していない。

    これを読んでもしも宋さんで遊ぶ場合は絶対に磁石を使わないでほしい。
    もしも本当にヤバイものを見たいのなら自己責任でお願いしたい。

    磁石にご用心、御用心。