月浦影ノ介

  • 月浦影ノ介 さんが投稿「† 呟怖王 2020 †」にコメントしました。 3年 5か月前

    #呟怖 子供の頃から夜桜が嫌いである。月下に舞う花びらが酷く忌々しい。ある満月の晩、恋人に懇願され、仕方なく夜桜見物に訪れた。彼女の首筋が桜色に染まって艶めかしい。ふいに湧き上がったのは殺意の記憶と衝動である。嗚呼、俺が恋人を縊り殺したのは、ちょうど百年前のこんな夜桜の下であった。

  • 月浦影ノ介 さんが投稿「† 呟怖王 2020 †」にコメントしました。 3年 5か月前

    #呟怖 稀に「理由のない自殺」をする者がいる。遺書も何もない。順風満帆な人生を送っていたのに、ある日突然、自ら死を選ぶのだ。そういう自殺者を検屍官の私は「呼ばれた人」と名付けた。何に呼ばれたのかは分からない。ただ彼らの死に顔は一様にとても安らかで、それが何だか少しだけ羨ましかった。

  • 月浦影ノ介 さんが投稿「† 呟怖王 2020 †」にコメントしました。 3年 5か月前

    #呟怖 夕暮れに一人釣り竿を投じていると、水面をついと泳いで近付くモノがいる。「鮎は良いねぇ、西瓜の匂いがする」と宣うので、魚籠から一匹掴んで放ってやった。彼奴め、それを器用に口に咥え、水中に没して二度と浮かんで来ない。鮎の釣り始めの、この川に棲むモノとの、これが毎年の習いである。

  • 月浦影ノ介 さんが投稿「† 呟怖王 2020 †」にコメントしました。 3年 5か月前

    #呟怖 気付くと身が異様に軽かった。地を蹴れば宙を飛べるに違いない。振り返れば腹に刃を突き立て、事切れた己の姿。古寺の境内。池の畔。参詣の後、ひと息に自刃した。水無月の宵。天上の満月。死ぬには良い頃合いだった。雲間から射し込む光は彼岸への橋渡し。あの月が呼んでいるのだ、と思った。

  • 月浦影ノ介 さんが投稿「† 呟怖王 2020 †」にコメントしました。 3年 5か月前

    #呟怖 椿の花が落ちるは人の首が落ちるに似て縁起が悪いと申します。旦那様の首が落とされた日、庭の椿も花を落としました。遅い雪の降った日で、冤罪でございましたが、お家のため黙って腹を召されたのです。後に藩の上役が三人、首を落とされて死にましたから、まぁ道連れになさったのでしょうねぇ。

  • 黒鳥8 さんと 月浦影ノ介 さんのプロフィール写真月浦影ノ介 さんが友達になりました 3年 5か月前

  • 木本葵 さんと 月浦影ノ介 さんのプロフィール写真月浦影ノ介 さんが友達になりました 3年 5か月前

  • 月浦影ノ介 が更新を投稿 4年 5か月前

    #呟怖 伯母が十歳の頃、一人で留守番していると村役場のAと名乗る男が訪ねて来た。お父さんが事故に遭ったから一緒に来てくれと言う。不審を感じて玄関を開けず、やがて男は立ち去った。父親が帰って来て役場に問い合わせたが、Aという職員は実在したものの数年前に死んでいた。男の正体は分からない。 https://twitter.com/couchiyan/status/1143594436003106816 … 2019年6月28日 13:57

  • 月浦影ノ介 が更新を投稿 4年 5か月前

    #呟怖 燈籠が流れる川に釣り糸を垂れる男は翁の面を被っていた。何が釣れるのか訊くと、引き上げた釣り糸の先に青い人魂がゆらり。偶に燈籠から落ちる奴がいるんだよ。それを釣り上げるのが儂の役目さ。翁が手放すと人魂は明かりのない燈籠にするりと入って灯を燈した。とても静かな送り火の夜だった。 2019年8月18日 21:19

  • 月浦影ノ介 が更新を投稿 4年 5か月前

    #呟怖 彼岸花の咲く野辺を辿って、貴方の枕元へ参りました。あちらでは知り合いもなく少々寂しゅう御座います。いっそ道連れにとも思いましたが、寝顔を見て気が変わりました。彼岸花の花言葉をご存知ですか。「思うはあなたひとり」天涯を仰ぐあの朱い花を見掛けたら、どうか私を思ってくださいまし。 https://twitter.com/hanacotoba_jp/status/1154515727337979904 … 2019年7月26日 12:38

  • 月浦影ノ介 が更新を投稿 4年 5か月前

    #呟怖 仔狐に手を引かれ鳥居を潜った。小雨に濡れる紫陽花が美しい。姫様がお待ちです、と仔狐は死んだ恋人の名を口にする。そういえば今日は七夕であった。さながら織姫と彦星か。またお前に逢えるなら、現世への未練など捨てて構わないと思った。彼岸へと辿る黄昏の小径。ただ雨の音を聞いていた。 https://twitter.com/8kou_hirano/status/1147356192840138752 … 2019年7月7日 13:10

  • 月浦影ノ介 が更新を投稿 4年 5か月前

    #呟怖 とある女子大生の話。雨の日の帰り道。赤い傘を差した人物がずっと後を付けてくる。相手の顔は傘に隠れて見えない。痴漢だろうか。「いい加減にして!」と怒鳴ると傘が落ちそこには誰もいなかった。驚いて一目散に逃げ出した。降りしきる雨の中を赤い傘が嘲笑うようにコロコロと転がって行った。 2019年7月5日 14:56

  • 月浦影ノ介 が更新を投稿 4年 5か月前

    #呟怖 隣人が死んだ。独身で病気がちだった。数日後の深夜、玄関を叩くものがいる。どなたですかと問うと、私の猫を知りませんかと隣人の声がした。亡くなる数日前、いなくなったと騒いでいた。知らないと答えた。雨が静かに降っていた。隣人は今もときおり訪れる。猫はまだ見つからないらしい。 2019年6月14日 19:08

  • 月浦影ノ介 が更新を投稿 4年 5か月前

    #呟怖 強い風が吹いて弟の帽子を飛ばしました。木陰の坂道。夏の静かな午後でした。幼い弟は私の手を離して帽子を追い掛け…。私が振り向いた時には弟の姿は既に何処にもなく、ただ帽子だけが残されていました。後で知りましたがあの坂は「天狗坂」と呼ばれ、昔から子供がよく神隠しに遭ったそうです。 https://twitter.com/sousaku9116/status/1133903740774244352 … 2019年5月31日 11:41

  • 月浦影ノ介 が更新を投稿 4年 5か月前

    #呟怖 幼稚園の近くに落ちていた、多分あやとり用の毛糸。そういえばあの子はあやとりが好きだった。教室の片隅でいつも一人、あやとりしながら母親の迎えを待っていた。死んだのは冬の始め。母親の手に掛かって。あの子の笑顔を思い出し、毛糸を拾うとふと耳元で声がする。あやとりしよ、せんせぇい。 https://twitter.com/kurohacci/status/1132932801752211457 … 2019年5月27日 21:36

  • 月浦影ノ介 が更新を投稿 4年 5か月前

    #呟怖 ある有名作家が住んだ家。死後はそのまま記念館になった。展示物は彼が愛用した品々、万年筆と古い机。ときおり見学者の傍らを誰かがそっと横切る。無人の安楽椅子が風もないのに揺れる事も。きっとまだここにいるのかも知れませんね。記念館の館長を務める孫のA氏は懐かしそうにそう語る。 https://twitter.com/corin_tsubukowa/status/1124151253519388672 … 2019年5月3日 22:43

  • 月浦影ノ介 が更新を投稿 4年 5か月前

    #呟怖 すっかり花も散って葉桜の季節だ。彼女が死んだのは二十年も前の事。あの桜の樹の下で首を吊って。私もずいぶん年を取った。最近はなぜか彼女がよく夢に現れる。目覚めると手のひらに、淡い紅の花びらが一枚。きっと迎えに来てくれるのだろう。あの桜の樹の下。丈夫なロープを用意しなければ。 2019年4月24日 17:56

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