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月浦影ノ介 さんが投稿「✵ 呟怖王 2018 SUMMER ✵」にコメントしました。 5年 8か月前
#呟怖 友人の墓参りに行った。彼は十九で自死したのだった。手を合わせ顔を上げると、墓石の背後に顔を半分だけ出して覗く者がいる。思わず身を引いた。ほんの一瞬のことだ。既に墓石の向こうには誰もいない。あれは死んだ友人だったのだろうか。とても静かな夏の日の、白昼夢にも似た出来事だった。
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月浦影ノ介 さんが投稿「✵ 呟怖王 2018 SUMMER ✵」にコメントしました。 5年 8か月前
#呟怖 女は鬼であった。いつも辻に立ち登下校する子供たちを見ていた。それは私にしか視えなかった。血走った目で覗き込まれるたび、素知らぬ顔でやり過ごす。ある日いつものように子供たちを眺め、ひどく哀しげな顔で立ち去った。失った子を探していたのだと気付いたのは、大人になってからのことだ。
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月浦影ノ介 さんが投稿「✵ 呟怖王 2018 SUMMER ✵」にコメントしました。 5年 8か月前
#呟怖 もう帰らないと、かくればあさんが来ますよ。迎えに来たばあやが言う。
その昔、神隠しに遭った娘。長く隠されて、人でなくなってしまった。
ときに里に降り子供を攫う。こんな風の強い黄昏に。
怖いけど、少し哀しいお話ね。
私はばあやと手を繋ぐ。
早く帰ろう。かくればあさんが来る前に。 -
月浦影ノ介 さんが投稿「✵ 呟怖王 2018 SUMMER ✵」にコメントしました。 5年 8か月前
#呟怖 夏になると死んだ友人が訪ねて来る。今年は釣りに行く約束をした。彼は確か川で死んだのだった。僕を引っ張るつもりじゃあるまいねと訊くと、俺だって道連れは選ぶさと嘯く。黄昏が迫り、そろそろ帰るよと腰を上げた。昼に出る幽霊も珍しい。またなと声を残し、風鈴が一つ鳴る前に姿を消した。
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月浦影ノ介 さんが投稿「✵ 呟怖王 2018 SUMMER ✵」にコメントしました。 5年 8か月前
#呟怖 赤い月が照らしていた。窓の外。虚ろな影が揺れる。今夜もまた、遊ぼう、とあの子がやって来る。
私は布団を被って寝た振りをする。だってあの子はもう死者だから。こんな赤い月の夜に、たった一人で死んでしまった。
窓を叩く音がする。私の名を呼んでいる。嫌だ。そっちへは、行きたくない。 -
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月浦影ノ介 さんが投稿「✵ 呟怖王 2018 SUMMER ✵」にコメントしました。 5年 8か月前
#呟怖 女は胸を切開くと心臓を取り出し、私に食えと迫った。女は死者であった。
心臓は腐りかけのように赤黒く、口に含むと柘榴の味がした。嚥下して、これでもう私のものだと女が嗤う。そこで目覚めた。夢にしてはひどく生々しい。
ふと口の中に柘榴の味を感じて、掌に吐き出すと赤黒い血であった。 -
月浦影ノ介 さんが投稿「✵ 呟怖王 2018 SUMMER ✵」にコメントしました。 5年 8か月前
#呟怖 友人が死んだ。新築を建てたばかりだった。妻子に去られ、間もなく首を吊った。空き家になった庭先に、やがて彼岸花が咲き始めた。窓辺にはときおり人影がそっと佇むという。今も妻子の帰りを待っているのかも知れない。風が寂しさを孕む秋、その家の庭先には今年も彼岸花が綺麗に咲いている。
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月浦影ノ介 さんが投稿「✵ 呟怖王 2018 SUMMER ✵」にコメントしました。 5年 8か月前
#呟怖 雨の午後。長い坂道の途中に赤い傘を差した女が立っていた。顔は傘に隠れて見えない。あゝ嫌だな。視える体質は厄介だ。気付いたことに気付かれてはいけない。何気ない振りをして女の前を通り過ぎ、坂道の上でほっと息をする。ふと足元の水溜りを覗くと、私の背後に赤い傘がちらりと見えた。
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ゆきさき(幸来紗希) さんと 月浦影ノ介 さんが友達になりました 5年 8か月前
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月浦影ノ介 さんが投稿「✵ 呟怖王 2018 SUMMER ✵」にコメントしました。 5年 8か月前
#呟怖 こんな夢を見た。白木で組んだ台座に黒い正方形の匣がある。私は毎晩その前に座り、匣に向けて一つだけ怪談を語る。匣には夜ごと怪談が溜まって行く。そして明日でとうとう百日目を迎える。ふと、黒い匣がゴソリと動いた気がした。明日、怪談を語り終えたとき、あの匣から何が生まれるのだろう。
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一ノ瀬 彩 【公式】秘密結社のせ民 さんと 月浦影ノ介 さんが友達になりました 5年 8か月前
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